二百十日は、雑節の一つで、立春(2月4日頃)から数えて210日目の日のことを指します。
毎年9月1日頃になります。
この頃は、稲が開花するころであり、台風が多く、農作物に甚大な影響を与える可能性が高いことから、収穫前の農家にとって厄日として戒められています。
農家にとって厄日として挙げられるのが、「二百十日」の他に「二百二十日」、旧暦8月1日の「八朔」があります。この3つのことを農家の三大厄日と呼ばれ、警戒する必要があるとされています。
風祭り(かざまつり)とは?
風祭は、農作物を風害から守るために紙に祈願する祭りです。
昔の人々は、大風は風の神が起こすものだと信じていました。
風で稲が倒されたり、花が散らないよう神に祈る祭り「風祭り」「風祈祷」「風日待ち」などを行いました。
奈良県の竜田神社の風鎮祭は、最も有名な風祭りです。
大和盆地にあるこの神社は、大阪湾から吹き込む風の最も強い場所です。
天御柱・国御柱の風の神二柱を祭り、現在では6月28日から7月4日まで、伊勢太神楽、竜田神楽、湯焚きなどが奉納されます。
他にも有名な祭である9月1日から3日にかけて、富山県八尾町で行われる「風の盆」は、やはり暴風を吹かせる悪霊を踊りにのせて送りだそうとする風祭りです。
この祭は、娯楽の一つとしてした親しまれてきた祭で300年以上の歴史があります。
神奈川県では、8月28日を「風祭り正月」として村中の人が仕事を休み、神社の境内に集まって大風が吹かないように祈り、みんなでごちそうを食べます。
これは、風祈祷のために神前におこもりをし神様に供えた食物を神様と一緒に食べる神人共食の名残りです。
長野県では、二百十日の前日に「トウセンボウ」という風祭りを行ったそうです。「でっかい嬶(かかあ)ほしや、二百十日の風除けに」と歌いながら、獅子舞や神楽で神を慰めました。
風が吹いたときには風の神を切ってしまおうとして、屋根の上に鎌を取り付けました。この鎌のことを「風切鎌」と呼びます。
奈良県の法隆寺の五垂の塔の上にも、二本の風切鎌がつけられています。
長野県の別の地方では、屋根の上に高い棒を立て、大きな袋を取りつけます。これは、風の神をこの袋でつかまえてとじこめてしまおうとするものです。
東北地方では「南風祭り」と言って、男女二体の人形を作って川に流したり村境まで持っていき焼いたりします。
これは風の神という悪霊を人形に移し、流したり焼いたりして悪霊を退散させようとするためです。
防災の日
9月1日は、防災の日でもあります。
1923年(大正12年)の9月1日に発生した関東大震災の日であることと、1959年(昭和34年)の9月26日に起きた伊勢湾台風で甚大な被害が出たことがきっかけで、1960年(昭和35年)に制定されました。
防災の日を設けることによって災害に備えて避難訓練や防災用品の点検を促しています。
まとめ
二百十日は、雑節の一つで、台風が起こりやすい時期であることから、農家にとって用心するべき日ということでした。
また9月1日は防災の日で、私たちに防災の意識を促す日でもありました。