狩猟を糧に、岐阜県高山市で暮らす「森のエキスパート」

移住地選びの決め手となる自然環境。あなたは、海辺の暮らしと森の中の暮らし、どちらがお好みだろう。田舎暮らしの本8月号では、海と森の魅力を徹底比較。今回は、「森の暮らし」についてお届けする。(文/根岸 功[KUJIKA]、文・写真/吉田智彦)

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 シカやイノシシ、クマなどを捕る狩猟を生活の主な糧にしている人はそう多くはないだろう。しかし、岐阜県高山市に暮らす瀬戸祐介さんは、それを実現している。一般の猟期は11月中旬から3月中旬だが、瀬戸さんは田畑や山林に被害を及ぼす害獣駆除の要員に選ばれているため、4月から10 月も猟が可能なのだ。
「高山市から支給される駆除費はシカが1頭3万円、イノシシが1頭1万5000円です。猟を始めたとき、これなら生活できると思いました」
 瀬戸さんが暮らす地区はハンターの間でも人気が高いエリアで、広葉樹の森が広がり、獲物も豊富だという。
 瀬戸さんは、高山市出身のUターン。実家は市街地にあるが、祖父母が山手で暮らしていた。
「じいちゃんにつくり方を教わった弓矢でカエルを捕ったりして遊んでました。思えば、あれが猟師としての原点かも」
 21歳のときに訪ねたアラスカでの2カ月が人生の価値観を変えた。
「銃を借りて川をさかのぼり、一人でキャンプをしたんです。自分でカリブーを撃って、さばき、食べた感動は忘れられません」
 帰国後、栃木県で15歳のころから我流で吹いていたオカリナのプロ奏者として活動。その傍らわな猟を学び、2011年に高山へ戻って現在住む家を借りた。
「他界した叔父のショットガンがあり、それを使いたいと銃の免許を取りました」
 瀬戸さんは猟の方法も道具づくりも、身近に資料がなければ洋書やネットで独学し、実践を繰り返すことで腕を磨いた。
「山の中で獲物を追っている時間が一番好きです。仕事というより、生きているといった感覚のほうが強い。それがいい」
 と目を輝かせて笑う。昨年、近所に土地を購入し、今年中に家を建てる計画だ。

雨上がりの午後。瀬戸さんが有害駆除のための銃猟と、わなの見回りに行くといって軽トラに乗り込んだ。
「雨のあとはシカが動きますよ」
 わながある場所へ移動中も、銃を持ってストーキングと呼ばれる方法で獲物を探す。
「身をかがめながら足音を立てないようにして進み、ポイントに来たらシカやイノシシがいないか慎重に周辺を見渡します」
 しかし、木々が葉を付け、下草が腰まで茂るこの時季に、目視で獲物をとらえるのは難しい。
 わなはプレートを踏んだ瞬間にワイヤーが脚を締め付け、動けなくなる仕組みだ。プレートの大きさは財布ほど。広大な山の中で、財布大の足の踏み場を知るには、土地と動物の行動を熟知していなければならない。
 わなには、見事、2頭のシカがかかっていた。自作のナイフでシメた後、瀬戸さんはシカの目に手を当て、山の神に感謝した。
「ぼくは彼らに生かされてる。猟をしていると、自分が自然の一部になった気がするんです」
 シカ肉はおいしくローストされて、晩ご飯の食卓に上った。

詳しい情報は、本誌21ページからの「海暮らし 森暮らし 徹底比較!」にてご確認ください。

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