アジカン・後藤正文が語る『THE FUTURE TIMES』創刊の動機

アジアン・カンフー・ジェネレーションの後藤正文氏が3.11を契機に立ち上げた、「未来」を紡ぐフリーペーパー『THE FUTURE TIMES』。宝島5月号増刊『宝島AGES No.2』では、編集長をつとめる後藤氏に、このメディアについて伺った。(文・構成/森内 淳)

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― THE FUTURE TIMESを創刊した動機を教えてください。
 東日本大震災の直後、「何か役に立ちたい」という思いをどうやって形にしたらいいのか、とても迷いました。義援金をいくら送っても、どうにも手応えがなくて途方に暮れました。そういった経験の中で、ふと、寄付できるのはお金だけではないと思ったんですね。例えば、ボランティアの人たちは「行動」や「時間」を社会に寄付している。それならば、僕もお金以外の何かを社会に寄付したいと考えました。
 それともうひとつ、デモ行進以外にデモはないんだろうか、という思いも新聞作りのきっかけになっています。様々な問題について声を上げたいけれども、当時はいわゆるデモに対する偏見が今よりも存在していたように思います。そういった状況の中で、どうやって声を上げるのがいいのかを考えていました。ヒントになったのは音楽史です。中世ヨーロッパの吟遊詩人たちは、荘園や国々を渡り歩いて様々な情報を伝達する、新聞のような役割を担っていました。彼らを僕らのようなポピュラー音楽のミュージシャンの先祖と考えることもできます。その役割をそっくり現代に復活させてしまおうと思ったんですね。元来持っていた役割というのは、今の僕らにもどこかしら引き継がれているはずですから、無理なく役割を再現できるのではないかと考えたのです。
 そういう流れから、THE FUTURE TIMESの創刊を思いつきました。

― 数あるメディアの中からフリーペーパーという形態を選んだ理由はありますか?
 無料であることには、とても意味があります。現代では、ほとんどのものが貨幣で価値を計られてしまいます。等価交換は僕らの暮らしの利便性を上げてくれましたけれど、どこかで歪さも抱えています。お金を支払った側が、対価としてのサービスを過剰に要求するような風潮も、最近では強く感じます。そういう中で、無料であること、営利目的でないことは、ひとつのバグのようなかたちで、面白い作用があるのではないかと考えました。
 そして、創刊の理念である「行動を寄付する」から考えて、無料であることが相応しいと考えました。

― THE FUTURE TIMESは広告もなければ、お金をとっているわけでもありません。どうやって成り立たせているのでしょうか?
 弾き語りイベントなどを行い、レコードやTシャツなど、物販での売上げを取材費や印刷費に回しています。イベントでは購入していただいたグッズになるべくサインをするようにしています。これは参加してくださる方への感謝でもありますし、想いを手渡しするような感覚を大事にしたいからです。売上げは預かったお金だと考えていますから、彼らと直接対面することで、自分の心も引き締まります。 それでも足りない分に関しては…、まあ、なんとかなるものです。

― 後藤さん自ら福島で取材もされていますが、取材をとおして、報道と現実の違いを感じたことはありますか? 
 報道と比較するのはとても難しいですね。マスメディアというのは、とにかく膨大な情報を扱っています。だから、広範囲で網羅的な反面、ニュースが消費されるのも早いように思います。
 その点、僕らの取材力には限界がありますから、マスメディアのようなやり方はできないんです。その代わり、同じところに何度も行くとか、そういった継続性によって記事の内容が立体化すると考えています。パッと現場だけ切り取るというよりは時間軸で捉えていくことで、報道とは違った何かを伝えることができたらと思います。
 そういう意味では、「福島」とまとめるには、あまりにも 福島県は大きいし、あまりにも多くの人が、それぞれの人生を歩んでいるという当たり前の事実に、目を向けて欲しいと取材を通して思いました。

― 震災前から原発問題などに関心があったそうですが、THE FUTURE TIMESは、例えば「原発反対」や「脱原発」というメッセージよりも「新しいエネルギーの可能性」「新しい生活のカタチ」を探るという姿勢を貫いています。その理由は何ですか?
 より良い社会を求めるために、反対の意思を表明することはとても大切です。ですが、もう少しスマートな方法を考えたかったのです。何より、自分自身が将来に希望を持てるような情報を掲載したかったんです。そうすると、やはり「こんな面白いアイデアがあるんだよ」という記事作りのほうが、単純にワクワクするんですね。ある種の深刻さを演出するよりも、こんなにも可能性があるんだ!と感じながら、暮らしていきたい。ただそれだけです。

詳しい情報は、本誌106ページからの「『未来』を繋ぐフリーペーパー THE FUTURE TIMESの軌跡」にてご確認ください。

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