【世界を旅するネコ 番外編なノダ!】『世界を旅するネコ』はこうして育ってきた

なにも最初から「世界を旅するネコに育てよう!」などと思っていたわけではないのです。

仕事場に行っている間に家で留守番をさせたり、帰省の時にお守を頼むこともなく、どこにでも連れて行けたら便利だなぁ……というのが最初の思いつき。そこで少しずつおでかけに慣れる工夫をしていった結果、どこにでも一緒に行ける猫になってしまった、というかんじなのです。

今思えば、旅するネコの素養が育まれたのは、ノロがうちにきて2ヵ月ちょっとの間のこと。
今回は、そんなノロが小さな時のお話です。


 ↑最初はパーカのフードに入れて通勤していました。

まず、おでかけするために、ノロがうちに来て2ヵ月ほどの間でマスターしたのはこの3つ。

1.車に乗れること
2.どこでもごはんとトイレができること
3.首輪とリードをつけられること

捨て猫だったノロが、ひょんなことからうちにやって来たのは生後1ヵ月の頃。
鉄は熱いうちに……というわけでもないのですが、その翌日、いきなりドライブへ……。


↑屋根の上の黒い塊がノロ。


↑ズーム!それなりに楽しんでる?!

車は初めてだろうに、パニックになることもなく、楽しげにしていたのは立派でした。なにより新聞紙を千切って敷いておいたバケツをトイレと認識して、そこできちんとウンチとおしっこをキメたのには驚きました!

「こいつ、なかなかやるじゃん……」

僕は長いこと鳥を飼っていたこともあり、実は猫が大の苦手だったのですが、この健気さには心動かされました。
帰路につく頃には里親になることを決心。モタモタした緩慢な動作から、そのまま「ノロ」と名付けました。


↑「よろしくニャン!」

ドライブに強制連行した時の様子から判断するに、ノロはおでかけをストレスとは思っていないよう。苦手な子が多いと聞かされる車も、問題なさそうです。「ただ鈍感なだけ?」という気がしなくもないですが、ともあれ第1段階はクリア。続いて食事とトイレに関する作戦を立てました。

食器とトイレをセットにして持ち運び、場所が変わっても同じ生活感が出るようにしてはどうだろう? どこへ行っても、いつもの食器とトイレがそばにあって「ここが君の家だよ!」と騙す 教えるのです。


↑この赤い食器は今も使用中!


↑トイレは成長に合わせて大型化しましたが、今でも同じようなアルミのものを使っています。

この作戦もまんまと成功。傍らにいつもの食器とトイレ、そこに家族さえいれば、ノロは「わが家」だと思うようになりました。こうして環境の変化にストレスを感じさせない工夫を積み重ねていったのです。

次はいよいよ首輪とリード。『魔女の宅急便』の「ジジ」よろしく真っ赤な首輪を購入し、ノロがそれを付けられる体格に成長するのを、今か今かと待っていたのでした。


 ↑じゃ~ん!

記念すべき初首輪の日。ゆる過ぎるあまり、最初はすぽすぽ抜けていましたが、とりあえず嫌がってはいないよう。この頃はまだ机や棚の上から飛び降りられなかったためリードには繋がず、まずは首輪というものに慣れてもらいました。

続いてリードも装着!
人の出入りがある仕事場や車の中など、自宅以外の場所では必ずリードをつなぐことにしました。ごはんやトイレは常にリードの半径内にレイアウトしておくなど、リードを制約として感じさせない工夫もぬかりなく……。

たぶんノロは「リードで行ける範囲に居れば安全!」と思うタイプなのでしょう。猫のくせにリードに抵抗を示さなかったのは、そんな彼の慎重な性格もあってのことだと思います。

こうしてノロは最初に掲げたおでかけ3目標をマスター!
帰省を兼ねた東京~博多の新幹線移動も、まだまだ大き過ぎる首輪をつけて、何食わぬ顔でクリアしてしまいました……。

ここまでがうちに来てわずか2ヵ月半の出来事。
わが猫ながら、びっくりの順応性でした。

「ノロ、かなりやるじゃん!」

時は流れて、その6ヵ月後。
ノロは、夏休みの海外旅行に当然のように付いて行くことになり、機上の猫となりました。

気圧の変化や騒音など未知の不安もあったのですが、蓋を開けてみると、離陸前からイビキを立てて爆睡するという大物(?)ぶりを発揮……。食事もトイレも何なくこなし、涼しい顔でパリ=シャルル・ド・ゴール空港に降り立ったのでした。


↑「ボンジュール!日本からきたノダ!」

 


↑余裕でドライブを楽しむノロに、現地の人たちもびっくり……。


↑これさえあれば、どこでもわが家!


↑リードのお散歩もマスターしました。

こうして最初の海外旅行は大成功。
しかしまさかこのあと、37ヵ国も一緒に旅をすることになるなんて、僕もノロも思ってもみませんでした……。


ノロのひとこと
「ボクは平気だったけど、お出かけできるかどうかはネコにもよるから、むりしないでね。
できるだけ若いうちに、お出かけできるか、ためしてみるといいよ!」

*次回は4/23(日)更新予定です
illustration: Tomoyuki Okamoto

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■著者プロフィール
平松謙三(ひらまつ けんぞう)

1969年、岡山県生まれ。
2002年から現在まで、黒猫の「ノロ」と37カ国を旅し、世界の美しい風景とノロを写真に収め、書籍やカレンダーなどを通して発表している。
ふだんは八ヶ岳南麓の山小屋に暮らし、フリーで、グラフィックデザイン、WEBディレクションなどを行う。
趣味は自転車と薪作り。

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世界を旅するネコ(小社刊)
クロネコノロの飛行機便、37ヵ国へ
著者:平松謙三 写真・文

アルプス、地中海、ピラミッド……
37ヵ国を巡ったノダ。

飛行機も客室で!? 旅する猫のフォトエッセイ。

童話やアニメの話ではなく、本当に世界中を旅するネコがいます!黒猫の「ノロ」は、2002年から2016年現在まで、飼い主の平松さんと一緒に世界37ヵ国以上を旅行しました。ヨーロッパを中心にアフリカから中近東まで、美しい風景とノロの写真に、思わずほっこりする旅エピソード(猫エピソード)がぎっしり。ペットと海外旅行をするためのハウツーも満載です。加えて、アートディレクター・寄藤文平氏による装丁も光ります。

↓書籍「世界を旅するネコ」はこちらからもどうぞ!
「The Official NOROSHOP」

※誌面画像、イラストの無断転載はご遠慮ください

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