【大久保麻梨子、台湾5年生】初代ミスマリンちゃん、九份で台湾に“ひと旅惚れ”

明日、日本に帰るのか……。
そう思うと、不意に涙がこみ上げてきた。眼下に広がる基隆港の灯りが、見る見る内にボヤけていく。
まさか台湾を離れることが、ここまで寂しくなるとは。自分でも予想していなかった、初めての感情に戸惑ってしまう。

2010年10月、私、大久保麻梨子の人生初となる台湾ひとり旅の最終日。
九份という町で、私は台湾に移住することを決意した。

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私がなぜ台湾に興味を持ったのか。話は3カ月前の7月にさかのぼる。

とあるミスコンテストで優勝し、芸能界入りした私。マリンちゃんと呼ばれて、グラビア界の人気者に(と、自分で言うことではないけれど……)。女優業にもチャレンジを始めた頃だった。
ある日、舞台での共演をきっかけに仲良くなった役者仲間から、彼女が出演するというイベントへのお誘いを受けた。
それは中国語学習者の集まりで、もともと中国語に興味を持っていた私は二つ返事で承諾。当日、会場で中国語のお試しレッスンを受けることに。
まったくの初心者だったこともあり、まずは自己紹介の仕方を学びましょう、ということで自分の名前の中国語読みを教えてもらった。

なるほど、大久保麻梨子はダージウバオ マーリーズになるのね。
このダージウバオ マーリーズという音の響きが気に入ってしまい、イベントから帰宅後も、口ずさむようにずっとブツブツ。その内に、ちゃんと勉強して中国語を習得したいなと思うようになった。

ほどなく中国語のレッスンをスタート。すぐに台湾人の友だちもできて、TSUTAYAで台湾の映画やドラマを探しだすように。
このようにして、私の台湾熱は次第にヒートアップ。その勢いのまま、台湾へと旅立ったのだ。

無謀にも、たったひとりで。

台湾桃園国際空港に降り立つと、もわっとした湿気とともに、独特のにおい。
両替所でさっそく覚えたばかりの中国語を使うと、ちょっと訝しげな顔をしながらも、台湾元に換金してくれる。

わっ!通じた!
それだけで飛び上がりたいくらい嬉しかったが、その後、台北の街中では、いくら中国語で話しかけてもまったく言葉が通じない。
いま思えば、両替所で日本円を差し出せば、言った中国語がチンプンカンプンでも台湾元に換えてくれるに決まっている。
丸暗記してきたつもりだったけど、私の中国語は、まだまだ役に立たないんだな。
そう身にしみて感じつつも、そんなことでは私の台湾への興味は薄れなかった。

台湾はおもしろい。

とにかくバイクが多くて、信号待ちで並んでいる様子は、まるでマラソン大会のスタート地点さながら。店頭に並ぶ看板は漢字だらけで異国感満載。かと思えば、路地に入ると、どこか日本の街並みに似ていて、懐かしさすら憶える場所もある。

日本でおなじみのチェーン店の看板や広告もたくさん目にする。
テレビをつけると「ワンピース」や「ドラえもん」が放送中。もちろん、ルフィものび太も話す言葉は中国語だ。

そんな台湾の一番の魅力は何かというと、なんといっても人の温かさ

道でガイドブック片手にお店を探していると、通りがかった人が気付いてお店まで連れて行ってくれた。日本語を話せる人が多いことからも、台湾がとても親日な場所だといえるだろう。

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滞在2日目に訪れたのが、台北市の中心部、東区
路地を入ったところにある茶葉店のご主人は、日本語がとても流暢で、台湾の話をたくさん聞かせてくれた。日本と同じで、台湾の人たちもお茶を飲みながら話をするのが大好きなのだ。

そして、日本への帰国前日に訪れたのが、台北市内から車で3~40キロ程の距離にある九份
九份とは、1989年に現地で公開された『悲情城市』という映画の舞台となり、一躍人気の観光地となった町。山あいに茶藝館と呼ばれる伝統的な喫茶店が集まっているスポットだ。
私も高台にある茶藝館へ。ふもとに位置する基隆という町の夜景を眺めながら、お茶を楽しむことにした。

気持ちいい風に吹かれて、小さな湯飲みにウーロン茶を注ぐ。飲み干しては注ぎ足し、また味わう。その動作を繰り返していると、お茶のふくよかさが、しみじみと感じられた。
そしてその時、明日、自分は日本へ帰らなければならないことを思い出し、寂しさで胸が一杯になったのだ。

もっと台湾のことが知りたい。ここに残って生活してみたい。
ひと目惚れという言葉はあるけれど、私は台湾にひと旅惚れしてしまったのだろう。
芳醇なお茶の余韻に浸りながら、そう悟った。

これが、私と台湾のの始まり。
現地で暮らし始めて、早5年の月日が流れた。台湾の魅力をお伝えしながら、私がここで女優として認めてもらうまでの道のりを、ちょっとずつ振り返っていこう。

【麻梨子的台湾案内① 九份】

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台北市郊外の山中にある小さな町。古くは金鉱の町として栄え、今では台湾在住の人たちにも人気の観光名所に。夕暮れになると通りに提灯が点り、石畳の階段とあいまって幻想的な風景が楽しめる。夜遅くまで営業する茶藝館が多い夜遊びスポットでもある。

<アクセス方法>
① MRT文山内湖線・板南線「忠孝復興」駅下車、1番出口を出て、復興南路一段沿いにあるバス停から基隆客運(バス)1062系統「金瓜石」行きに乗車して約90分。「九份老街」バス停で下車。片道95元。
*バス停の場所はMRT「忠孝復興」駅5番出口から復興南路一段をはさんだ反対側あたりに位置

② 台北市内からタクシーで片道1000元程度。複数人で行くなら交通費がお得でラク。

【Profile】
大久保麻梨子(おおくぼ まりこ)
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1984年9月7日、長崎県生まれ。
2003年に「Sea Story Audition 2003 マリンちゃんを探せ!!」で初代グランプリを獲得し、芸能界デビュー。グラビアアイドルとして活躍する。2008年、女優業をスタート。CMやドラマ、映画で活躍するのと同時に、写真集を計9冊出版。
2011年、台湾に移住。中国語を学びながら、台湾の芸能界でタレント・女優として活動開始。2013年、日本人として初めて、台湾最大規模のテレビアワード「第48回金鐘獎」テレビ映画部門 最優秀助演女優賞に輝く。2016年TTV連続ドラマ「幸福不二家」では主演を務めた。

目標は女優として幅広い役に挑戦することと、台湾アンバサダーとして日本と台湾の橋渡しをすること。

Photo & Text 大久保麻梨子

*次回は1/15(日)掲載予定です。
※文章・画像の無断転載はご遠慮ください

大久保麻梨子 公式Instagramアカウント→
@marilog0907

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