余命わずかな妻との距離を描く 山崎ナオコーラ「美しい距離」

先日発表された第155回芥川賞。今回は村田沙耶香さんの著書「コンビニ人間」が受賞作に決定しました。本作は発売後の売れ行きも上々。お笑いコンビ・ピースの又吉直樹さんが書いた「火花」に次ぐ大ヒット作となると予想されています。

ですが芥川賞候補作としては、ほかにも全4冊がノミネートされていました。
その中の1冊が、山崎ナオコーラさんが手掛けた「美しい距離」(文藝春秋)です。

ただいま発売中の「大人のおしゃれ手帖」9月号では、連載コーナー「大人の図書室」で作家の山崎ナオコーラさんにインタビュー。最新作「美しい距離」について、たっぷりと語ってくれています。

山崎ナオコーラさんは2004年に「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞し、華々しく作家デビュー。その後も多くの小説やエッセイを発表し続けてきました。
そんな山崎ナオコーラさんが「美しい距離」で描いたのは、人との距離感についてです。

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『美しい距離』というタイトルが示すとおり、人との「距離」について書かれた山崎ナオコーラさんの新作。がんに侵された妻を見守る夫の心情を、細やかに描き出した物語です。距離をテーマにしようと考えたのは、山崎さん自身が2年前にお父様を亡くしたときに、「時間が経つにつれて、どんどん父との関係が遠くなっていく」と感じたことがきっかけだそう。

「でも、距離が空くというのは必ずしも悪いことではないと思うんです。私は学生時代に『源氏物語』を研究していたのですが、作中では主語が省かれていて、敬語によって主語を類推できるようになっている。敬語で相手との距離を空けることで、好意や尊敬を表しているんですよね。そうした考え方を小説で描いてみたかったんです」

大人世代の女性に特に響きそうなのが、作中で妻の仕事相手がお見舞いに訪れるシーン。たとえ病気で入院中だとしても、妻の仕事のことを気遣って、話を邪魔しないように夫は席を外します。

いいなぁ、私もこんな旦那さんが欲しい、と思わずうらやましくなってしまう場面。山崎ナオコーラさん自身も、こんな男性もいるのではという希望を持って書き上げたそうです。

「(中略)今の時代、病気になったからといってすべてを夫に頼るのではなく、お金のことも一緒に考えたいし、自分の仕事を尊重してほしい女性も多いと思うので」

たとえ余命わずかとなっても、妻が築いてきた人間関係を大切にして欲しい。そう考える夫の「配偶者というのは、相手を独占できる者ではなくて、相手の社会を信じる者のことなのだ」というセリフも胸に刺さります。

この「美しい距離」は夫婦関係や、愛する人の看取りについても考えさせられるストーリー。
折りしも日本は、そろそろお盆の時期。親族や親しい人と集まる機会が増えて、人間関係や人生設計についても、自然と考える機会が増えていきます。そんな時にこの小説を読んで、人との関わり方を見つめなおすのも良いかもしれません。

インタビュー内では更に、山崎ナオコーラさんの近ごろの執筆スタイルが変化したことについても明かしてくれました。「大人のおしゃれ手帖」9月号132ページをご覧下さい!

 

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