「地域おこし協力隊」で宮崎県へ移住した20代夫婦の生活

毎日の通勤ラッシュや、職場での厳しい競争、深刻化する待機児童問題など何かと生活するうえで気疲れすることが多い都会での暮らし。最近では、時間のゆとりや安心できる子育て環境を求めて田舎暮らしを希望する若者が増えているそう。現在発売中の田舎暮らしの本 4月号では、「地域おこし協力隊」を中心に若者向けの移住情報を掲載しています。「地域おこし協力隊」とは、過疎地域に都市部の人材を呼び込み地域の活性化につなげる制度のこと。一定の所得が自治体から得られるため生活の不安も少なく、田舎へ移住を考える若者世代から注目が集まっています。treasuresでは、入籍を機に東京から宮崎県へ移住を決意した細川さん夫妻の生活に注目しました。細川さん夫婦も活躍する「地域おこし協力隊」について、実際の活動内容を通してご紹介します。

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細川慎太さん(29歳)絵美さん(29歳)
2015年9月に東京から小林市に移住。夫妻とも小林市地域おこし協力隊として活躍している。

宮崎県 小林市(こばやしし)
宮崎県の南西部に位置する、人口約4万6000人の都市。霧島連山など周囲を山に囲まれているため、各所で名水が湧出する。宮崎市街から高速道路を経由して車で約1時間、鹿児島空港から同約45分。

安定した収入と地域とのつながりを一度にゲット
宮崎県小林市に、夫婦で地域おこし協力隊としてやって来た細川慎太さんと絵美さん。もともと田舎暮らしを志向していた2人だったが、入籍を機に移住を決めた。
「安定した収入が得られて、地域とのつながりができる。仕事と家という、移住の2大ハードルを飛ばして準備期間なしで移住できるところに魅力を感じました」(慎太さん)
「2人とも、半農半Xやノマドワーカー(ネットを駆使し、特定のオフィスなどを持たない働き方)的な暮らしが理想ですが、いきなり田舎でそういった生活はできません。協力隊は3年間を助走期間として使えるのがありがたいですね」(絵美さん)
まず地域は島根県と宮崎県に絞り込んだ。移住フェアなどで役所の人や協力隊の先輩に話を聞いた結果、候補に残ったのが小林市と椎葉村(しいばそん)だったという。
「椎葉村はそのときが協力隊の初募集でした。できれば先輩の隊員がいるところがよかったのと、いきなりヘビーな田舎に行くことをためらったため小林市を選びましたが、いま思えば強烈な田舎も面白かったかもしれません(笑)」(慎太さん)

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やりたいことを提案しOKが出れば取り組む
同じ小林市の協力隊でも、慎太さんは小林市役所の商工観光課、絵美さんは野尻庁舎の地域振興課と所属先が異なる。仕事の内容もそれぞれだ。
「前職で企業の広報を担当していたので、広報誌の制作や道の駅・観光施設のPRなど、野尻町区の広報宣伝活動に携わっています。夫はウェブ制作やPRをしていた経験を生かし、『北きりしま田舎物語』という農家の民泊プログラムのPRや、農産物など面白い商品を見つけてネット販売をするなど、産業振興を担当しています」(絵美さん)
「基本的にはそれぞれがやりたいことを提案し、所属部署でOKが出ればそれに取り組む形です。部署は違いますが、10人の協力隊メンバーは横断的な活動を含め、割と自由にやらせていただいています」(慎太さん)
住まいは空き家バンク物件だった4DKの一戸建て。愛猫チョロとの2人+1匹暮らしだ。
「希望した条件は畑付きの平屋で、地域の方と密にかかわれる地区であること。きれいな家でしたが、さらに水回りや畳、襖などに70万円分のリフォームをしてもらいました」(絵美さん)
将来は基本的に小林市への定住を考えているが、多拠点生活も視野に入れているという。
「フットワークの軽さは保ちつつ、小林市には宿泊できる施設が少ないので、空き家などを利用したゲストハウスが経営できればと考えています。ノマド志向としては、小林市には少ないオシャレなブックカフェも併設したいですね」(慎太さん)

【細川さん夫妻の地域おこし協力隊としての主な活動内容】
慎太さん(商工観光課・シティセールス)
民泊プログラム「北きりしま田舎物語」のPRや支援のため、現在は現場体験や発信ネタの探索を実施。BLOGやFacebookを通じて、発信を行っている。「自分のやりたいことができる反面、分野が広過ぎて何をすべきか絞りにくい部分もあります。ある程度、明確なミッションが決まっていたほうがやりやすいかもしれません」。

◆ 民泊プログラムのPR
農家のことがまったくわからないため、まずは体験して学ぶところから。
◆ ネットを使った販売
面白い商品を見つけ、ネットショップでテスト販売を実施した。将来、起業したときの予行演習にもなっている。
◆ 地元の人たちとの交流
農家など、地元の人たちとコミュニケーションをとり、地域のことを知っていくことも重要な任務だ。

絵美さん(地域振興課観光・観光)
旧野尻町の広報誌の作成・取材、地元のお祭りやイベントの手伝いなどのほか、道の駅など地元施設の活性化につながる取り組みに携わっている。「野尻は独立した町の意識が残っていて、独自のイベントが盛んです。土日にも数多く開催されるため、休日出勤が多かったのですが、課内で調整をしていただき解消しました」。

◆ ケーブルテレビのリポーター
市とケーブルテレビによる『こばナビ』という番組のリポーターを担当。
◆ 広報誌の制作
『のじり庁舎だより』という広報誌の取材を担当。野尻町区の農家や産業をPRしている。
◆ 道の駅や観光施設の運営改善の提案
野尻町区の観光施設などを活性化するための提案を行う。

【細川家の1カ月の家計】
■ 収入
・給与 16万円×2人分=32万円
・副収入 5万円(Skype通信などを使用した取材や地元メディアなどの原稿料)
合計 約37万円

■ 支出
・家賃 3万5000円(市が負担)
・食費 3万5000円(外食込み)
・車両維持費 3万円(ガソリン代、保険料)
・光熱費 1万円
・通信費 2万5000円
・視察にかかる費用 3万円
・書籍・資料代 2万円
・ネコ飼育費 3000円など

文/渡瀬基樹 写真/廣澤順也

詳しい情報は、本誌89ページからの「20代・30代こそ田舎暮らし」にてご確認ください。

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