60代で漬物屋を開業! 「おひとりさま」移住で充実の日々

現在発売中の田舎暮らしの本 3月号では、40代・60代で田舎へ「おひとりさま」移住を実現した女性たちを紹介しています。生まれ育った土地を離れ、移住先で根を下ろしパワフルに生きる姿には、女性本来の強さを感じ元気をもらえます!  treasuresでは、60代に入り「おひとりさま」暮らし始め漬物屋をオープンした女性の暮らしに注目しました。ぜひ、チェックしてくださいね。

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新潟県十日町市(とおかまちし)
玉田美智子(たまだ・みちこ)さん(67
歳)
「60歳を過ぎたら、ゆっくりと坂道を下るように生きていきたい」
 そう思い描いてきた玉田美智子さんは60歳のとき、埼玉県から新潟県十日町市松之山に移住した。20年以上にわたって経営してきたスナックの常連客と松之山に遊びに来たのが、そもそもの始まりだ。
 「山里のような松之山の風景に一目ぼれしました。田舎で暮らしたいと思うようになったのは40歳のころからかな。都会でずっと暮らすつもりはありませんでした」
 常連客の知人の紹介で空き家を借りることができ、松之山を訪れたほぼ半年後には居を移す。ただ、坂道を下るようにのんびりと暮らす……、わけにはいかなかった。蓄えも年金も充分ではなく、稼ぐ必要があったのだ。そこで、松之山にある温泉旅館で仲居として働くことに。
「松之山は温泉街としても有名なので、繁忙期には手伝ってと旅館から声をかけられたんです。常勤ではないけど、そこそこ稼げますよ」
 元来、接客業に長けていた玉田さん。その手腕を見込まれ、「美人林で直売所を開いてみない?」と新たな仕事の話が舞い込んだ。約3ヘクタールの山に自生するブナ林「美人林」は、温泉と同じく松之山を代表する観光地。5月から11月には併設した駐車場の周辺に土産店が数軒立つため、ここで直売所の経営をすすめられた。ほぼ機を同じくして、ある自然塩と出会ったことも幸運だったよう。
「上越市でフィリピンの自然塩を個人輸入している人と知り合ったんです。潮の干満を利用した塩田でつくられている塩で、ホントにおいしいのよ。もともと塩好きで、各地の自然塩をいろいろ食べてきたけど、この塩は抜群でした。だからね、直売所の話が持ち上がったとき、この塩を売ろう! と決めました」
 自然塩をメインに、山で採取する木の実や山菜などを販売する直売所をオープンしたのは5年前である。

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味噌漬け加工にも着手 今春から販売が始まる

 直売所で自然塩を売る際、玉田さんは近所で栽培されている新鮮な野菜を試食用に用意した。野菜に塩をつけて味わってもらうのだ。
「塩だけの試食では、そのおいしさが伝わらないでしょ。野菜につけて食べると、塩そのもののうま味が引き立つのよ」
 ミネラルたっぷりの塩と野菜の組み合わせ。塩を売ための工夫だったが、「この塩で漬物をつくったらおいしいかも」と気づく。早速、同じ塩で味噌を仕込んでいる上越市の業者から味噌を仕入れ、数種類の野菜で味噌漬けをつくってみたところ、想像以上の出来だったという。
「当初はうま味を加えるためにコンブやシイタケなども一緒に漬けてみたけどイマイチでした。素材がいいので味噌と塩だけで充分おいしくなる。シンプルなほうがうま味が増します」
「これは商売になる」と確信し、一昨年から本格的な漬物づくりが始まった。自宅に小さな加工所を増築、集落の人に味見をしてもらいながら試作を繰り返し、2015年12月に保健所の営業許可も取得。直売所のほか、これまでの人脈を生かし、地元のスーパーと道の駅でも味噌漬けの販路をすでに開拓している。
「うちの野菜を使ってと、近所の人が野菜を分けてくれるのもありがたいですね。いずれは漬物でお返ししていくつもり」
 今春からの販売に向け、着々と準備を進めている玉田さん。移住してからの、さまざまな出会いが縁となり、漬物加工まで始めることになった。「ゆっくりと坂道を下るように生きていく」、どころじゃない。もしや、ジワジワと上っている?
「田舎でまた商売をするとは思っていませんでした。でも、ガツガツ稼ぐつもりはありません。そこそこ暮らしていければいい。ここに来てから、分け合うこと・助け合うことの大切さを実感しました。集落の人の多くは高齢者で、私は若手のほう。病院や買い物の送迎などを頼まれれば助っ人します。私もいずれはお世話される側になるのですから、お互いさま、おかげさまという感謝の気持ちを大事にしていきたいですね」
 この日の昼食も集落のおばあちゃんたちが手料理を持ち寄ってくれた。お返しに渡した玉田さんの味噌漬けが、夕餉に並んだかも。

実践者からのアドバイス「おひとりさま」Q&A
Q1 移住地探しのコツはありますか?
A  私の場合はたまたま訪ねた松之山が気に入って即決したけど、移住して気づいたのは、松之山のような観光施設がある地域、というのも移住先を決めるポイントになるかも。旅館の仕事や直売所の話が舞い込んだように、観光地にはいろいろな働き口があるので。季節によって、いくつかの仕事を掛け持ちしていくこともできますよ。

Q2 生活費はどのくらい必要ですか?
家賃は月7000円、野菜なども頻繁におすそ分けしてくれるので、月に10万円あれば暮らしていけます。ただ、田舎は意外なところでお金がかかります。例えば集落費は月々4000円支払っています。

Q3 松之山は豪雪地帯、 冬場の雪かきは大変なのでは?
A  65歳を過ぎると、家周りなどの雪かきを無料でやってもらえるチケットが役場から配布されるので、ずいぶんと助かります。豪雪地域だからこそ公道などは行政がしっかり除雪しますから、雪かきが大変! というほどではありませんね。

文/佐々木 泉 
写真/本野克佳 

詳しい情報は、本誌59ページからの「40代・60代『おひとりさま』の田舎暮らし」にてご覧ください。

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